セリーヌ・ディオン、パリでのレジデンシー公演開始。6年以上ぶりのフル・ライヴに感無量

2024年のパリ・オリンピック開会式の最後に、エッフェル塔からエディット・ピアフの「愛の賛歌(Hymne à l’amour)」を歌ったパフォーマンスは、NBCで中継を担当していたケリー・クラークソンを涙させるほど感動的で、彼女の公の舞台への華々しい復帰を告げるものでしたが、難病を抱えながらフルコンサート──それもパリでのレジデンシー公演──を決行することは、決して容易なことではありませんでした。

2022年、ポップ界の女王セリーヌ・ディオンは、自身の抱えるスティッフ・パーソン症候群(約100万人に1人の割合で発症し、全身の機能に影響を及ぼす痙攣を引き起こす希少な神経疾患)との闘病を公表しました。この病気のため、ディオンは当時計画していたワールド・ツアーの延期を余儀なくされ、そのツアーは後に中止に追い込まれました。彼女は現在もこの病気の影響と向き合っていますが、数ヶ月にわたる集中的な身体トレーニングと発声トレーニングを経て、今年初めにパリ郊外のプレニチュード・アリーナで5週間にわたるレジデンシー公演を行なうと発表しました。その連続公演が土曜日に幕を開け、ディオンは6年半ぶりにフルセットのパフォーマンスを披露したのです。

前座なし、午後8時開演と発表されていたプレニチュード・アリーナ内の熱気は、時間が過ぎてもどんどん高まり続け、誰からともなく始まった「セリーヌ! セリーヌ! セリーヌ!」という呼び声が会場中にこだましていました。そして8時48分、ようやくステージに姿を現わしたディオンは、黒一色のドレス姿で、一言も発することなく、アリーナから湧き上がる拍手と愛情の波に身を委ねていました。彼女はほとんど身動きせず、まるで物思いにふけっているかのようで、喝采が最高潮に達する中、その頬に涙が伝うのが見えました。そこからアコースティックで「On ne change pas」(「We Don’t Change」)の冒頭の歌詞を歌い始めた時、その声は溢れる感動で震えていました。

その後彼女は英語とフランス語の楽曲を織り交ぜ、セットが進むにつれて圧倒的な高音を披露するなど、力強いパフォーマンスを見せ、観客に向かって「今日は泣かないようにするって自分に約束していたの。でも、これじゃ約束が守れないわね」とお茶目に語りました。熱狂的なファンでなくとも、彼女の示した強さ、不屈の精神、そして感情のこもった歌声には誰もが心動かされるでしょう。